東京忘年会の様子 (2019年12月取材)
<お世話になっております、ミッションコンピュータサービスの渡辺です。簡単なご案内にて恐縮ですが、来月の弊社東京支店忘年会の
ご案内をさせていただきます。>
ミッションコンピュータサービス(以下、MCS)で社長を務める渡辺さんから上記の文章から始まる丁寧なメールをもらったのは
2019年11月上旬のこと。忘年会の様子を拝見したいと僕がつぶやいたことをちゃんと覚えていて、1カ月以上前に連絡をくれた。
こちらから何かメールすると、その日のうちには返信がある。渡辺さんは細やかで世話好きな人物なのだろう。
会場は、渡辺さんが長年通っているという「IZAKAYA場琉 Goo 池袋」。肉料理やワインが気軽に楽しめる洋風居酒屋で、東京支店の忘年会は
毎年ここで開かれている。店員さんも慣れた様子で、料理もお酒もスムーズに提供してくれる。真面目なカメラマンの馬場さんは
「酔ってピントが合わなくなると困る」とソフトドリンクをもらったが、僕はさっそくハイボール。
向かいの席に座った部長のHさんが身振り手振りを交えながら会社やご自分のことを説明してくれた。居心地がいい。今夜は飲み過ぎちゃいそうだな……。
MCSの社員たちは、普段はそれぞれの客先に常駐してシステム開発などに取り組んでいる。一堂に会する機会は月1の定例会議のみ。そのため、忘年会やBBQ大会、社員旅行などを会社が用意して、社員同士のコミュニケーションを図っているようだ。
ハイボールを片手にいろんなテーブルに混じらせてもらうと、2つのことに気づく。1つは、おとなしめではあっても「暗い」人がいないこと。
飲みの席で会社や仕事に関して後ろ向きなことを言い続ける人がよくいるけれど、MCSの忘年会では皆無。音楽や車、スポーツ、酒などについて楽しそうに語り合っている。
もう1つは、上下関係がはっきりしていないこと。年長者や役職者も「さん」付けで呼ばれて、悪意のない笑いのネタにされている人もいる。若者のほうが堂々と会話を引っ張る光景も見られた。社長の渡辺さんは店員さんに混じってドリンクや料理の追加注文を取ったりしている。
MCSにはいわゆるITベンチャーのような華やかさはない。でも、控えめな前向きさと居心地の良さに溢れた職場なのだと感じる。
その基盤には、福利厚生制度の充実や実力主義の人事制度の導入をはじめとする職場改善の努力と実践があるのだろう。
安心と自由を手にすれば、人はこんなにもいい顔になる。
乾杯後、静かに語り合いながら食事スタート。 秋田県出身の店主が特別に「きりたんぽ鍋」を作ってくれました。絶品です。 |
飲みが進むにつれて、あちこちのテーブルから笑い声が聞こえ始めます。 Mさん、いい笑顔してますね! |
得意の?婚活ネタで強引に会話に混じる僕。 みなさん、優しく受け入れてくれました。ありがとうございます。 |
新入社員のNさん(右端)。 先輩社員であるSさんによる現場研修がわかりやすくて一番良かった、 と素朴な口調で話すのです。向かいに座ったSさんを有頂天にさせていました。 |
*ライタープロフィール*
大宮冬洋(おおみや・とうよう)
1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
電子書籍『40歳は不惑ですか、惑ですか』
*カメラマンプロフィール*
馬場敬子(ばば・けいこ)
1974年生まれ。18才で長崎県平戸から福岡県博多に出て、突然写真に目覚める。短大を受け、合格。苦学生を経て集英社の撮影スタジオに入社。
仕事の合間にフリーのカメラマンのアシスタントをし、独立を目指す。料理カメラマンの今清水隆宏氏に師事。独立後、料理撮影をメインに、人物、料理、風景を撮影。雑誌を中心に、単行本、webや広告の撮影などを手がける。
料理ユニット「Soup Caravan」を結成し、『マルベジドリンク』、『マルベジデリ』を出版。