R.Tさん(23歳)のお話
私は新卒入社でまだ2年目です。専門学校ではゲーム制作を主に学んでいました。先生から「入社試験を受けてみないか」と勧めてもらったのが弊社です。渡辺社長との面接では、「いろんな会社を受けて比べてくれ」と言われたのが印象に残っています。そんなことを言ってくれる会社は他にありません。比べてみて、「ここがいい」と思ったので入社しました。
東京支社の雰囲気は明るいです。人間関係もいいのですが、物理的に明るい(笑)。日当たりが良くて窓が大きいからかもしれません。
弊社は福利厚生がいろいろありますが、私が嬉しかったのは誕生日休暇です。今年の誕生日はバイクで都内を走り回っていました。
適当に休んだりできる学校とは違って、会社には毎日ちゃんと行かなければなりません。仕事で使うプログラム言語などは日々、勉強が必要です。でも、先輩社員に質問できるので「何かあったら相談すればいい」という安心感はあります。常駐先(顧客企業)にも弊社の先輩社員が3人いて、誰にでも質問できる環境です。
渡辺社長も話しやすいです。先日、「社長会食」で指名してもらって2人で酒を飲みました。3時間ぐらい一緒にいましたが、苦痛ではありませんよ(笑)。楽しい酒は大好きです。
いま一人暮らしです。常駐先までは40分弱で通勤しています。本音を言えば、仕事をせずにずっとバイクに乗っていたいです(笑)。酒をずっと飲んでいたいし、将棋をずっとさしていたい。でも、それでは生活できませんよね。
将棋が好きなのは人間の心理に興味があるからだと思います。駆け引きをしたり、信頼関係を築いたり。人間への関心は持ち続けたいです。
人への興味を持つことは仕事でも大切ですよね。いいシステムを作るためには、人としての温かさがないとダメだと思います。ただし、自分のやりたいことを押し通すという意味ではありません。相手の言い分に納得できたら、自分を殺すことができると思っています。「この作業は面倒臭い」とか「オレはこうしたい」という気持ちを抑えて、いい意味で自分の感情を入れ込まず、誰もが使いやすいものを作りたいです。
―R.Tさんへのインタビューを終えて―
インタビューの途中で、Tさんから働き方に関する逆質問を受け、僕と馬場さんはしばらくフリーランス談義にふけってしまいましたね。Tさんが嬉しそうに聞いてくれたのが印象的でした。バイクや将棋で様々な人と交流しているからこそのコミュニケーション能力でしょう。仕事にも大いに生かせそうですね。今後がとても楽しみです。
M.Aさん(27歳)のお話
大学を卒業してからの1年間は不動産会社で経理の仕事をしていました。お金を扱う仕事がしたいと思っていたのでやりがいもあったのですが、入社3カ月で支店の経理をすべて任されたことは私には荷が重すぎたのだと思います。残業も続いて体調を崩してしまいました。
病名は乳がんです。ストレスや睡眠不足、食生活の乱れが原因になったのかもしれません。手術後に退職して、1年間ほどは抗がん剤治療を受けながら群馬の実家で療養させてもらいました。
当時は毎日泣いていました。でも、お医者さんから「若い人はがんの進行が早いので発見したときには手遅れになっていることが多い。早く気付けて良かった。」と言われたんです。がんばって生きなくちゃと思いました。私はもともと明るい性格なので、また外で働きたいとも思いました。
でも、1年もブランクがあると再就職には不利です。がんの治療は続いているので定期的に通院もしなければなりません。書類だけで落とされてしまうことが続きました。
弊社に入ったのは3年前の夏です。入社面接で病気のことを話したところ、渡辺社長の奥様も私と同じ病気で亡くなっていることがわかりました。「力になってあげたい。うちには他にも持病で通院をしている人がいるので大丈夫」と言ってもらえたことを覚えています。私の人柄と考え方も評価していただき、入社することができました。
東京支店では女性は私一人ですし、総務の仕事も覚えなければいけないことがたくさんあります。でも、本社の総務部長にはSkypeで何でも質問できるし、月1回は顔を合わせる機会もあるので不安はありません。総務部長は野球好きの面白い方です。私は高校時代に吹奏楽部で太鼓を叩いていました。野球部の応援で甲子園にも行ったことがあって、今でも高校野球が大好きです。総務部長とはよく野球の話で盛り上がります。本社には女性社員も4人いて、私と年齢が近い方は産休中です。
入社するときに重視したのは、自宅からも実家からも比較的行きやすい池袋で働くこと。そして、残業がなくて月1の通院日には問題なく有給休暇がとれることです。いまはそれが両方かなっています。
弊社は穏やかでフレンドリーな人が多いと思います。話しかけにくい雰囲気はまったくありません。常駐先(顧客企業)から支店に帰って来た男性たちがゲームの話をしてくれたりします。20代30代の若手社員でお酒を飲みに行くことも多いです。
前職では毎朝会社に行くことが辛くて仕方ありませんでした。いまはそんな辛さはありません。業務に慣れたとはまだ言えませんが、とても働きやすい会社だと思っています。
―M.Aさんへのインタビューを終えて―
「私はもともと明るい性格なので、また外で働きたいとも思いました」というお話を聞いたとき、Aさんの生命力の強さのようなものを感じました。笑顔も素敵なAさんは、多くの人に関わって喜んでもらえるはずです。渡辺社長もそれを見抜いたからこそ、経験不足でも採用したのでしょう。焦らず、伸び伸びと力を発揮してくださいね。
Y.Kさん(32歳)のお話
デザイン関係の専門学校を出てから25歳まではデザイン事務所でアルバイトとして働いていました。その後は、弊社と同じ業種であるシステム会社に正社員として転職。でも、単調なシステム運用の仕事が続き、夜勤も多くて、「有給休暇を取るぐらいならシフトで調整して連休にして」と言われていました。
夜勤明けは休みになるので、確かに連休といえば連休なのですが、疲れてしまっているし生活が不規則なので気楽に飲み歩きにも行けません。夜勤手当も少ししかありませんでした。
前職を辞めようと思っていた頃、弊社にいる先輩に声をかけてもらって転職することにしました。給料はアップしましたし、有給は月1で取れています。
休みの日は何をしているか、ですか? だいたい酒ですね。私は実家暮らしですが、自分で適当に料理を作ってつまみにしたり、飲み屋つながりの知り合いから誘ってもらってBBQに行ったりもしています。
最近は、通勤途中にある中野駅前にある立ち飲み屋を気に入っています。知らないおじさんとしゃべりながら酒を飲むのが好きですね。酒場でも人とつながれるところは社長の渡辺さんと似ていると思います。でも、私にはあんな行動力はありません。渡辺さんみたいになりたいです。
いま、鉄道会社の予約システム開発に携わっています。客先に常駐で、忙しいときは終電近くまで働いていますが、基本は朝9時~18時まで。土日は休めます。システムを監視してときどき動かすだけだった運用の仕事と比べると、プログラムを書いてシステムを作ることは面白いです。自分が利用している鉄道の内側を作っている実感があります。
言語やロジックは入社して4年間でだいぶ覚えました。いまでもわからなかったり悩んだりすることはありますが、常駐先には弊社の社員が他に3人いますし、他の会社の人に質問することもできます。私は誰とでもしゃべりますから。
デザインの知識やスキルは活かせていません。休日を使えば弊社のホームページを改良することができるかもしれませんが……。社長からは「メリハリをつけて働こう。自分の自由の時間も大切にしなさい」と言ってもらえています。私の場合は、仕事帰りや休みの日に飲み歩く時間は欠かすことができません。
―Y.Kさんへのインタビューを終えて―
やる気なさそうでいて真面目で、孤独を好みそうなのに「誰とでもしゃべる」というKさん。興味深いです。専門学校でもアルバイト先でも培ったデザインのスキルを活かせないのはちょっともったいないですね。業務時間内でホームページの採用ページを作ってみたらいかがですか?
M.Oさん(40歳)のお話
中途入社で3年目です。課長代理を拝命しており、3名の部下がいます。でも、私たちはそれぞれ別々の常駐先で働いているので普段は顔を合わせることができません。会社はそのことに配慮してくれて、今年からは月初に必ず支店に集まって対面で会議をすることになりました。
メールや電話とは違って、顔を合わせて話すと相手の温度感がわかっていいですね。同じ「大丈夫です」という答えでも、表情が悪かったり余裕がなさそうな様子だったりすればフォローすることができますから。
私たちは現場ごとに異なるプログラム言語やロジックを使って仕事をしているので、別の現場にいる私が部下に技術的なことを教えるのは難しいのです。ただし、設計書を書いて、システムを作り、テストを重ねていくという仕事の手順や思考方法はどの現場も変わりません。仕事を進めるうえでの考え方に関してはいつでも相談に乗れると思っています。
月1の会議だけでなく、飲み会やBBQなどの社内イベントが多いのも社内コミュニケーションをするうえで役立っていると思います。私が人と飲みに行って話すのが個人的に好きなのもありますけど(笑)。
大学を中退して入社した前職もシステム会社でした。10年ほど勤めていましたが倒産をしてしまって、もともと取引のあった弊社に移ったのが3年前です。ご縁があったのでしょう。
弊社の特徴は和気あいあいとした社風にあると思っています。業務に関すること以外にもいろんなことを話しますよ。私たちは技術職ですが、お客さんあっての仕事です。会話ができなければ成り立ちません。コミュニケーションに関してはみんな自然とやっていると思います。自分だけの世界に引きこもったりするような人はいません。
もう一つの特徴は福利厚生の充実でしょうか。未消化の有給休暇をストックできる制度はありがたいですね。体調を崩してしまったときなどに安心ですから。人間ドッグも受けられますし、追加で検査したいときのオプション料金も会社が補助してくれたりします。
私はそろそろ入社して丸3年になるので、今年から始まった社員持ち株会にも参加するつもりです。社員が自社株を持てる制度は中小企業では珍しいと思います。私たちのようにそれぞれの現場(常駐先)に散ってしまう働き方をしている人間が会社への帰属意識を持ちやすくなる制度です。
課題としては、先輩と後輩のセットで常駐先に入れるようにすることでしょうか。そのほうが心強いし働きやすいからです。私もできるだけ配慮したいと思っています。
個人的な課題は結婚ですね(笑)。一人暮らしも長くなると寂しくなってきました。最近は出会いも少なくなり……。よかったらどなたか紹介してください。
―M.Oさんへのインタビューを終えて―
能力が高くて(渡辺社長の評価)人柄もいい(僕の感想)Oさん。御社の将来を担う人物の一人だと感じました。お互い40代。心身の健康を意識的に管理するべき世代ですよね。ぜひパートナーを見つけましょう。控えめなOさんには合コンや婚活パーティーよりも小規模の結婚相談所をお勧めします。よかったら紹介しますので連絡くださいね。
⇒大宮よりミッションコンピュータサービス様へ
コンピュータ業界にいる人たちは人間よりもITやゲームが好きなのだろう、という偏見があったのです。でも、御社の若手社員さんたちにインタビューをし、BBQにも参加させてもらって、人懐っこい方が多いことに驚きました。飲み会好きもやたらに多いですね。社長の影響でしょうか(笑)。控えめだけど、話しかけると笑顔で答えてくれる人たち。とても取材しやすかったです。
BBQ会場では、ハイボールの注ぎ場がわからずに僕がウロウロしていたら、Oさんが「何かお探しですか?」とすかさず声をかけてくれました。嬉しかったです。僕のいたテーブルでは、寡黙だけどオシャレなKさんがひたすら肉を焼き、焼きそばも上手に作ってくれましたね。モテそうだなと思いました。
気遣い上手、聞き上手の人が多い職場の根底には、必ず会社からの愛情があると僕は思っています。あくまで仕事を前提に集まっているので、給料はもちろん重要です。でも、愛情の形は給料だけではありません。好奇心を持って前向きに働くことができるか。プライベートな時間も充実させられるか。そして、定年などで会社を辞めた後も安心して暮らすことができるのか。
会社が社員を使い捨てるのではなく、大切なメンバーとして扱ったとき、職場にはいい意味での余裕が生まれるのではないでしょうか。自分が愛されずに余裕を持つことができなかったら、他人に興味を持ったり優しくしたりすることはできません。
御社には、良き余裕が生まれつつあると僕は感じました。5年後10年後、それが社風として根付いたら、かけがえのない財産になるはずです。
(2019年7月取材)
*ライタープロフィール*
大宮冬洋(おおみや・とうよう)
1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
電子書籍『40歳は不惑ですか、惑ですか』
*カメラマンプロフィール*
馬場敬子(ばば・けいこ)
1974年生まれ。18才で長崎県平戸から福岡県博多に出て、突然写真に目覚める。短大を受け、合格。苦学生を経て集英社の撮影スタジオに入社。
仕事の合間にフリーのカメラマンのアシスタントをし、独立を目指す。料理カメラマンの今清水隆宏氏に師事。独立後、料理撮影をメインに、人物、料理、風景を撮影。雑誌を中心に、単行本、webや広告の撮影などを手がける。
料理ユニット「Soup Caravan」を結成し、『マルベジドリンク』、『マルベジデリ』を出版。